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第30回手打ちそばアカデミー(2月7日)が開催されました
2016-02-07
 全麺協所属団体の「NPO法人そばネット埼玉」が恒例の講習会を開催しました。場所は埼玉県・県民活動総合センターの2Fセミナーホールで、これはまた法人設立10周年を記念する講演会ともなっています。テーマは「手打ちそば文化の継承・発展のために」であり、講演とパネラーへの質問が行われました。200名近く(庵主の実感)のそば愛好家の方々は熱心にこれに聞き入り、メモを取る方も随所に見られました。静かな熱気に包まれた盛会でした。
 最初の講演は阿部成男氏(そばネット埼玉代表理事)が、そばネットの10年の歴史と現状について説明してくれました。団体会員は35団体で、個人数では1400名に上るそうです。
 つぎの講演は小山周三氏(西武文理大学名誉教授)で、「そば道の思想と文化」というテーマで話されました。
 最後は6名のパネラー(小川伊七氏:そばネット埼玉副代表理事・小野常夫氏:メンタルクリニック小野内科心療科院長・加藤憲氏:全麺協理事段位認定事業部長・根本忠明氏:「蕎遊庵」庵主・ほしひかる氏:江戸ソバリエ協会理事長・阿部成男氏)に対して、コーディネーターを務めた小山氏から4つの質問が出され、これに答える形で進行しました。
 質問は①手打ちとの出会いと現在・②そばの魅力とは?・③そば道をどう思うか?・④そばネット埼玉に対する期待は?というものでした。それぞれにパネラーの方々がとても興味をそそられる回答をされ、聴衆も皆満足だったようです。根本氏は昨年、初めてこのアカデミーに講師として招かれてエンボス麺棒を紹介しましたが、そばネットの代表理事である阿部成男氏と意気が通じたようです。両氏のそば文化の広宣に掛ける意気込みは並々ならぬものがあります。
 残念だったのは、聴衆の質問の時間を取ってもらえなかったこと。少なくともパネルという言葉を使うからにはディスカッションが必要だと思いますし、他の人からも同じ意見を聞きました。日本のこのような講演会では、意見の衝突や質問に対する答えに窮するという場面を避けようとする傾向があり、それはとても役人的な発想だと思われます。もっと率直に意見が戦わされた方が、活気に満ちた講演会となるだろうと思いますし、聴衆もそれを期待していると思います。単なる意見発表に堕したならば、そのうち誰もおもしろくもない講義を聞きには来なくなるでしょう。帰りがけに小山氏には、次回にはぜひ質問時間を取ってください、とお願いしておきました。
 私が注目した意見は2つあります。1つは加藤憲氏が述べたものですが、阿部氏が全麺協の東日本支部長とそばネット埼玉の代表理事という要職を兼ねており、非常に大きな活躍によって実績を残していることは喜ばしいことだが、この要職から退いたあとには大きな穴が開いてしまうのではないか、と心配していることでした。確かにそれは考えておかなければならないことであり、後任の養成は早いほどよいだろうと傍からも思えます。
 もう1つの意見は根本氏のもので、そば技術は決して完成してはおらず、進歩し続けないと高段位を取ったそば愛好者は目標を失ってそのうち飽きてしまうのではないか、と心配していることでした。全麺協では五段位を最高位と定めており、またこれを単なる技術的最高レベルと位置付けるのではなく、そば道の追求としての高みを意味する段位であると規定していることから、2つの立場の相違があるように思われました。そば技術も進化をしていかなければならない、という根本氏の指摘は、そば技術はもう完成されたものだと思っている多くの全麺協の役員の方々には衝撃的なことかもしれません。
 私はそば技術も、そば道もどちらも完成ということは有り得ないと思っており、だからこそ、このHPにおいても「そば研究」と題してその奥義を追及しようとしているのですが、この立場の違いから来る意見の相違をお互いに理解し得て一致できれば、そばの世界には限界も最高もまだ無いのだということが分かるようになると思えるのです。まさに「たかが‘そば’、されど‘そば’」という境地はこのパネルに参加されたパネラーの方々が一致して実感していることだろうと思いました。(16.2.7記)
  
 詳しくは http://members3.jcom.home.ne.jp/sobanet/ にアクセスしてください。
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