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ビジター用:近況・ニュース

イカダを作らない方法

2018-03-15
包丁の上の粉を麺束に載せる
麺束を回転させて開いて確認
使用した打粉を篩って再使用
  イカダができやすい条件は以下の通りです。
①水が多めで、そばが粘りのあるものである場合
②切りに於いて特に押し切りの場合、切り残しを生じた場合
③切りを連続させて開きまでの時間が長い場合
④開きのやり方が不十分な場合
 
  ①の加水率ですが、固めに打つ人にはこれが原因でイカダができることは余りないと考えられます。それでもできるというのは②・③・④に原因があります。柔らかめの生地では水分が多いため、切った麺同士がくっつきやすく、柔らかめに打つ人は②・③・④でこれを防ぐ必要があります。ノムさんは柔らかめの方が美味しい麺になると考えているため、いつも柔らかめにしますが、イカダはごくたまにしかできませんし、出来た場合は確認してますので取り除きます。さらしなは粘りの少ない粉のためと細く切るため、ほとんどイカダはできません。この場合はイカダの有無の確認すら必要ないかもしれません。事実足利の「蕎遊庵」店主の根本忠明氏は開き・打粉振い落し・確認という作業を一切行わずに見事な極細麺を切ります。流石にプロで名人ですが、それを真似するのは危険だと承知しておいてください。
 
  ②押し切りもいろいろあり、昔は包丁の重さで切るというやり方が主流でした。それは包丁が厚く、切れが良くなかったからです。会津包丁は重さを増すためにわざと峰の先端を反らせています。また会津のプロの方の中には包丁の刃先を茶碗の高台で削って切れを悪くするということさえしている人もいます。それはそれで一理はあるのでしょうが、現代の鍛造技術・研ぎ技術の発展から現代のそば包丁は軽く・薄くが主流になってきており、足利の根本忠明氏の包丁は500gを切るほど薄く・軽く造っています。つまり押し切りではなく、スライド切りをするために切れを最大限に良くしているのです。この際、包丁はまな板に平行に前方に押します。自然に軽くそばは切れます。「プツプツプツ・・・」という感じが手に伝われば最高の切れだと言えます。スライド切りでは間違いなく切り板に刃が当たるので切り損じはありません。
 
  ③の連続切りはよくプロがやるやり方ですが、素人がこれを真似するとイカダができてしまうことがあります。それは切りのスピードの違いから出てくるのであって、ゆっくり時間を掛けて切るとその間に切った面同士がくっついてしまうからです。素人の場合、通常は20~30回切ったら開き(麺と麺を引き離す)を行わなければなりません。
 
  ④の開きのやり方もいろいろあり、包丁を麺束の下に差し入れたあと左手で崩すやり方や、包丁を右に引いて開くやり方があります。ノムさんは独特なやり方をしますので後述します。開きをしたからと言って、必ずしもイカダが出来ないということはありませんから、後で確認が必要です。
 
  よく審査会などで、切る・開くという動作だけで、イカダの有無を確認していない人を多く見かけます。それでうまく切れているなら問題はないのですが、そういう人の中にはイカダを作ってしまう人が多いのです。時間が無いから確認を省いたということもあるでしょうが、確認は是非とも習慣付けてもらいたいものです。四段の人でもよくイカダのある蕎麦をイベントなどで出すことがあります。これも習慣付けていないことが理由となっていると思われます。
 
  イカダは絶対に作ってはいけない、もし出来てしまったらその部分は全部除く、ということを肝に銘じて下さい。そのためには確実な確認が必要です。
 
  ノムさんの独特な方法を紹介します。これは最善というわけではありませんので参考程度にしてください。
①切りは30回を基準(手で握る限界)としており、太さによって変えます。切ったあと右に寄せ、「向こう切り」
 と呼んでいる端切り落としをします。包丁を頭(手前)と足(向こう側)に挿し込み、右に引いて「引き開き」します
②足の側2/3に再度包丁を挿し込み、そのまま持ち上げて左手で平らに頭を挟みます「掬い取り
③足を切り板に載せた状態で足の部分に包丁の上に残った打粉を落とします(写真)。包丁は包丁置きにもどします
④麺束を挟んだ左手を左右に振らし、イカダができないようにするとともに打粉をまぶします
⑤落ちた打粉を麺束で手前から舐めるようにして切り板の向こう側に落とします(清掃)。
 この時足の裏側にイカダがないかどうか確認します
⑥右手で麺束の足を平らに握り、板上で右回転させて頭を扇状に開きます。この時頭のイカダの有無を確認します
⑦今度は右手の甲を上にして麺束の裏側を表にして板上で左回転させ、頭を扇状に開いて裏側のイカダの有無を確認します
⑧右手で持っている麺束の頭を切り板に数回ぶつけて頭の打粉を落とします
⑨左手で頭を持って左右に振り足の打粉を落とします
⑩右手で足を持って生船に収めます。この時頭から入れることになります。足先はきれいに揃います
 
  この方法の利点は、掬い取りによる時間短縮・打粉の再利用・確実なイカダの有無の確認、にありますが、確認作業に伴って通常よりは所要時間が長くなるのが欠点です。持ち替えが多いのですが、それによって端の揃いが悪くなることはありません。本来は動画でこれらを説明すれば分かりやすいのですが、動画を撮ってくれる人がいないので写真と説明でご理解いただければ幸いです。
 
 
 
 
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