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ビジター用:近況・ニュース

そば打ち技術講座・①そば道具

2018-03-18
  趣味というものを始める際、先に道具を買うか、習ってから必要なものを順次揃えるかは人によって異なります。庵主の場合、在職中に同僚らと車で旅行をした際に立寄った「大内宿のそば道場」で食べた蕎麦が余りにも美味しかったもので、その場で道具一式(初心者用)を買ってしまいました。そして5年位経ってからやっと定年後の趣味として始めたのです。
 
  初心者用のセットには①捏ね鉢(プラ・朱塗り/外径36.3・内径33.6・深さ8.5cm)・②延し板(75×65cm・桐)・③包丁(24cm・ステン)・④こま板(0.5×24.8cm・7mm厚/枕23mm高)・⑤延し棒(40mmΦ×75cm)の5点が含まれており、合計で¥21000でした。現在では切り板付きの6点セットで¥16000から売られているようです(「豊蔵」)。ですがこれらはすぐに役に立たなくなるので、最初はそば教室やそばの会に備えてあるものを使い、慣れてきたら順次必要なものから揃えていけばいいのです。最初に買うのは多分包丁だと思います。これは人から借りることが難しいからです。
  蛇足ですが、直径を表す「Φ」は日本では「パイ」と呼ぶことが多いのですが、正確には「ファイ」と呼びます。「パイ」では円周率に出てくる「π」となってしまいますのでご注意ください。
 
  捏ね鉢はほとんどが木粉をフェノール樹脂で固めたものですが、結構重さがあります。中は朱、外は黒に塗られていますが、合成ペイントが使用されています。木製は漆塗りなので極めて高価で、余程道具に凝る人でないと持っていません。大木を利用するため自然を壊す一因ともなります。初心者も上達者もプラスチック製で十分です。一般には段位審査に使われる底が平な「尺8」(54cmΦ)ものが主流となっていますが、これは上級向きとなっており、6点セット価格は約8万円となっています。庵主は最初の数回は初心者用の36cmΦのものを使ったと思いますが、小さすぎてすぐに役立たなくなりました。
 
  延し板は初心者用にはが多く使われますが、これは柔らかいためすぐに表面がささくれて使えなくなります。(シナ)が最も適切です。庵主はホームセンターで買ったシナベニヤを90×90cmに切って、テーブルの上に置いて使っています。初心者はこの寸法で十分ですが、上達するとどうしても110×100cmのサイズが欲しくなります。それは上達してからで十分間に合います。
 
  包丁はピンからキリまでで、当面は鋼付きステンレス製の安い物をお勧めします。包丁は借りるという訳にもいかない(貸す方が嫌がります)ことから、早々に買う必要があるからです。刃長は30cmのものを買って下さい。上記同様、そば生地の切り長さは最大でも25cmですので、30cmの幅があれば十分です。庵主はホームセンターで買った「豊稔企販」の安来鋼青紙Ⅱ号(約700g・2009年当時¥14800)という鋼を使ったステンレス包丁を買いましたが、これで三段まで取りました。安い道具で段位を取ったことにむしろ誇りを感じています。道具は使いこなすことが一番だからです。
 
  こま板(駒板・小間板とも書く)は桐・ひば・桧・杉・黒柿などの材の板(継ぎ貼りもある)に枕と反り止め(この部分に欅・ブラックウォールナット・紫檀・黒檀・一位・黒柿などが使われます)を付けた道具です。切る際の定規の役目をします。枕部分には硬い材を使います。初心者向けにはやはり桐が多いですが、これは上記同様避けた方がいいです。漆塗りのものもありますが、打粉が目立つのが難点で、凝った人の好むもので、実用的にはひば・黒檀の組み合わせで十分です。薄いものは反りが出ますので、2.5mm以上の厚さのものを求めた方が無難です。大きさは24×31cmであれば十分です。
 
  延し棒は延すために使う棒で、ひばが最も多く、硬く重いものでは桜・樫・メープルなどもあります。太さは細いものでは25mmΦ程度のものもありますが、通常は30mmΦのものを求めてください。もっと太いものでは一本棒丸延しに使うものやうどん打ちに使うものがあります。長さは90cmが標準です。庵主は延し棒だということがすぐ分かるように、延し棒には寄木ものを使っています。
  この他に江戸流(四角に延すやり方)では巻き棒2本必要です。現在は全国ほとんどのところで江戸流の打ち方になっていますので、買った方が良いでしょう。材はやはりひばが標準です。軽くしなやかで、反りもほとんどありません。太さは延し棒と同じでも構いませんが長さは110cmが普通です。
 
  切り板(まな板)は初心者用には桐が多いのですが、上記したように桐は避けた方が無難です。柔らかすぎてすぐに傷が付くからです。お勧めは桧(檜・ヒノキ)です。かなり使っていますが傷がほとんど付きません。寸法は60×30cm・70×35cm・90×35cm・100×35cmなどがあります。庵主はそば打ち台が小さい(90×90cm)ため、70×30cmのものを使っていますが、不便はありません。そば生地の切り長さは最大でも25cmですので、30cmの幅があれば十分です。寄木の高級品もありますが、お勧めできませんし必要もありません。逆に包丁の刃が痛む可能性があります(庵主は持っていますが、ほとんど使いません。包丁の刃先が割れるような音がしたので怖くて使えないのです)。
 
  最後に、道具はできるだけ自分では買わずに、まず先輩から不要になったものを譲り受けるという知恵も働かせた方が賢明です。恩義を受けるのが嫌な方はご自分で購入してください。庵主はもし弟子が居れば、いくらでも上げたい道具があります。大方の上達者も同様なことに悩んでいるのではないでしょうか。  
 
  他の道具もいろいろありますが折につけ触れていくこととし、今回はここまでとします。
 
 
 
 
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