ビジター用:近況・ニュース

桜切り蕎麦を打ちました

2017-04-06
太い葉脈を切り取った状態
  桜葉の中心の葉脈を切り取る         玉(鏡)にした状態         切って収めた状態
 
  更科蕎麦というものは江戸時代、今から220年ほど前の寛政元年(1789年)に麻布永坂町で行商人をしていた清右衛門という人が始めた「信州更科蕎麦処 布屋太兵衛」が初めて作ったと伝えられています。それまでの各家で作られていた挽きぐるみの田舎そばから、「砂場」・「藪」というような専門店が現れ、「更科」という屋号も生まれました。白い上品な蕎麦から珍重され、武家に献上されるようなものとして作られるようになったようです。今でも「御前蕎麦」とか、「白雪」とか呼ばれていますが、値段が高いのと、どこの蕎麦屋でも提供しているわけではないので、名店でしか普通は食べられません。
  更科は元々信州の地名から「更級」と書いたようですが、布屋太兵衛(本名は清右衛門)が江戸での逗留先としていた麻布の保科家に店を持つよう勧められたことが切っ掛けとなり、「更科」という字を充てることを許されてこの名称になったそうです。ソバの実の真ん中は白い粉状のデンプン質で、つなぎ成分であるグルテン(タンパク質)がありませんので、熱湯でデンプン糊にして繋ぐしかありません。そのため極めて麺にするのが難しく、通常はつなぎとして小麦粉を2割から3割加えて打ちます。更科粉だけで打つ場合は「生粉(きこ)打ち」と言います。いわゆる10割です。このように更科蕎麦が誕生するためには製粉技術と製麺技術に大きな進化が必要だったのです。
  今回は素人でも打ちやすいように、つなぎを2割にして、グルテンと強力粉を同量加えて使いました。さらに片栗粉を触感を滑らかにするために加えました。普通は並蕎麦を打つときと同様中力粉を使いますので、これは蕎麦打ちからは邪道と言われるかもしれません。ですがおいしくできればどんな工夫もOKというのが庵主の考え方です。レシピは以下のようです。
 
  1.更科粉500g・強力粉(日清・カメリア)80g・グルテン10g(「ゴパン」専用:コジマ電気で購入)・片栗粉10gを用意します。更科は坂東製粉(静岡県)から取り寄せたものを使いました。桜葉は市場で買いましたが中国製しかありませんでした。200枚で¥972でした。50枚×4袋になっています。このうち1袋を使いました。少し桜色にするために食紅を粉量に対して0.02%(0.1g)使いました。これは無くても問題ありません。
  2.最初に前の晩に桜葉1袋(50枚)を水で洗って表面の塩を流してから一晩水置きして塩抜きし、打つ当日に中心の葉脈を揃えて重ね、包丁で三角に刻みを入れて太い葉脈だけを除きます。通常はこれをみじん切りにしてすり鉢でするかするのですが、庵主は適当量の水を加えてミキサーで30秒ほど粉砕しました。かなり省力化できます。これを大きな細かい目の掬い網(アク取り用が良い)を通して濾し、網に残った桜葉を絞って計量し(約100g)、そのうち33gを使いました。
  3.プラスチックボール(熱が逃げにくい)に更科粉500gを入れて真ん中に窪みを作り、ここに熱湯300ccを注ぎます。熱湯は蒸気の逃げない電気湯沸かし器(タイガーの「蒸気レスわく子」が最適)にあらかじめ305ccの水を入れて湯を沸かし、一気に更科粉に加えてヘラで掻き混ぜ、ある程度混ぜたら手で捏ねれるようになるので、塊を作るようにして練ります。これはデンプン糊を作るための工程です。これを少し厚めのビニール袋に入れ、氷水をいれた容器に袋ごと浸けて7分ほど冷やします。常温になればOKです。
  4.その間につなぎを用意します。つなぎは水を加えるだけでグルテンができますから、ボールに強力粉80gとグルテン10g、片栗粉10gを入れ、そこに33gの桜葉ペーストを入れ、さらに水30ccを加えます。手で混ぜて練っておきます。かなりべたつきますので、スプーンで手に付いたものをこそぎ落として玉に加えます。
  5.そば鉢に3.で作った更科玉と4.で作ったつなぎを入れ、良く練って玉(鏡餠状)にします。
  6.以下は通常のそば打ちと同様ですが、エンボス麺棒を使うと切れずに薄く延すことができます(ビジター用≪近況・ニュース≫の№3にある「足利の根本忠明氏が下野新聞に紹介されました」を参照。さらしなは水量が多め(粉全量に対し56%程度)なので、打ち台へのくっつきなどに注意し、打ち粉は少し多めにした方が無難です。
  
  今回の出来は少々細すぎたようです。細すぎると絡まってしまって、さらしな本来の食感が十分味わえないのです。1.2mm位が適当だと思いますが、もう少し太くして1.4mm位でもよいのではないかと思いました。箸持ち長さは20~25cm程度でした。でもおいしく、また桜の香りも感じられて良かったです。(記事は2015.4.9に改訂しました)