B-I:技術・道具・材料

I:「技術・道具・材料」

 「技術と道具」では、そば打ち技術とそれに必要な道具についてまとめてみます。以下にサブテーマを記しますが、順次内容をアップしていきます。(現在は全て‘工事中’です)

 サブテーマ1:篩いの原理 (工事中)
 サブテーマ2:捏ねの原理 (工事中)
 サブテーマ3:延しの原理 (工事中)
 サブテーマ4:切りの原理(工事中) 
 サブテーマ5:打ち台 (工事中)
 サブテーマ6:篩 (工事中)
 サブテーマ7:鉢 (工事中)
 サブテーマ8:麺棒 (工事中)
 サブテーマ9:包丁 (工事中)
 サブテーマ10:こま板 (工事中)
 サブテーマ11:まな板 (工事中)
 サブテーマ12:打粉の役割 (工事中)
 サブテーマ13:刷毛 (工事中)
 サブテーマ14:ちりとり (工事中)
 サブテーマ15:生舟(切った蕎麦を入れる容器)(工事中)
 サブテーマ16:秤
 サブテーマ17:水計量器 (工事中)
 サブテーマ18:タイマー (工事中)
 サブテーマ19:踏み台 (工事中)
 サブテーマ20:木材の種類
 サブテーマ21:そば粉
 サブテーマ22:小麦粉(割粉・つなぎ)
 サブテーマ23:打粉
 サブテーマ24:麺厚計
 サブテーマ25:畳み厚目安
 

サブテーマ16(B-I-16):秤

  秤量とはそば粉などの重量を計ることですが、こればかりは秤(はかり)がないとできません。しかし昔は秤などは使わなかったので、おそらく升(ます)を使って体積で計ったと思われます。今でも蕎麦屋では「一合そば」とか、「一升そば」という呼び方で蕎麦の量を表わすことがあります。これはそば粉を升で計って打っていた時代の名残りだと思われます。
 
  ちなみに、「1斗2升5合」を何と読みますか? 答えは「ご商売ますます繁盛」です。冗句としてよく出来ていますね。1斗=10升・1升=10合、から解いてください。
 
  そこで昔はそば粉とつなぎ(小麦粉)の割合を表わす場合に、「二八」・「外二」・「九一」・「外一」・「十割(とわり)」という表現をしました。これらをそば粉の全量に対する割合で表すと、80%・83.3%・90%・90.9%・100%となります。これらの表現は粉を計るのに体積を用いていた名残りです。外一と言う場合は升に一杯そば粉を取り、その十分の一の体積(1合)のつなぎを加えた割合です。これらは現在の二八蕎麦(80%)よりそば粉が多いことを示しています。江戸時代の1751(寛延4)年に書かれた「蕎麦全書」などには二六蕎麦というものが記されており、配合割合は経験的に行っていたようです。
 
  現代では二八蕎麦が一番おいしいとよく言われますが、庵主は食感派ですので「七三」(割合の順序が逆になっていますが、これは語呂の良さからきたもので、そば七に対してつなぎ三であることを示しています)が一番おいしいように思います。多くの人に評価を聞くと、かなり七三に分があるようです。蕎麦屋さんでは手打ちを謳っていない場合、5割や6割が結構多いそうです。それでもおいしいと食べに来る客がいるのですから、それはそれでいいのではないでしょうか(庵主は嗜好に対してはこだわりを持ちません)。特に最近感じるのは、十割(現代では‘じゅうわり’と呼ぶ)蕎麦が必ずしも評判が良くないことです。確かに香りは最高なのかもしれませんが、食感は一般的に落ちるからです。すなわち、滑らかさが無くなる、コシも無くなるという点が十割の欠点だと思えるのです。
 
  以上のことからそば粉とつなぎの割合を順に並べると、三割(30%)・五割(50%)・七三(70%)・二八(80%)・外二(83.3%)・九一(90%)・外一(90.9%)・十割(100%)と各種混合割合が存在することが分かります。手打ちそばと言う場合、一般的には七三(70%)以上の配合が使われるのが普通であり、それ以下では手打ちと呼ぶのはおこがましいということになるのでしょう。
 
  粉も水も重量で計っているかぎり、全てをグラムで表示して割合を計算すれば問題は全くありません。水を秤で計るのが面倒だという人は、水をビーカーの目盛で計っても良いのですが、ビーカーは誤差が極めて大きいということを知っておく必要があります。ですから、他人のビーカーを借りて計るということは極力避けてください。自分の秤とビーカーを使っている分には、相対誤差というものは最小に抑えられるからです。
 
  庵主は持っている秤を調べたところ、なんと9台も持っていることが分かりました。体重計を加えたら10台ということになります。精度もピンからキリまでありますが、使用目的はいろいろなので、そば打ちに常時使っているのは3台、台所で使っている1台を加えると4台も使っているということになります。結構秤というのは日常的にも有用なものですね。庵主の使っている秤について誤差を検定してみましたので、見たい方は「秤の誤差」をクリックしてエクセルファイルをダウンロードしてみてください。
 
 
 
(終わり)