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B-D:特別なそば・変わりそば

B-D: 「特別なそば・変りそば」no

 「特別なそば・変りそば」では、現代的なアレンジや海外のそばの料理、そして日本で古くからある変り蕎麦について以下にサブテーマを記しますが、順次内容をアップしていきます。
 
 B-D-1:日本におけるそばの食べ方(工事中)
 B-D-2:海外におけるそばの食べ方(工事中)
 B-D-3:現代におけるそばのアレンジ (工事中)
 B-D-4:そばがき(そば掻き)(工事中)
 B-D-5:十割そば(生粉打ちそば)(工事中)
 B-D-6:さらしなそば
 B-D-7:変りそばについて(工事中)
 B-D-8:よもぎそば(さらしな)(工事中)
 B-D-9:茶そば(さらしな)(工事中)
 B-D-10:柚子そば(さらしな)(工事中)
 B-D-11:海苔そば(さらしな・普通そば)(工事中)
 B-D-12:さくらそば(さらしな)(工事中)
 B-D-13: 海藻そば(工事中)
 B-D-14:菊そば(さらしな)(工事中)
 B-D-15:木の芽そば(さらしな)(工事中)
 B-D-16:くちなしそば(さらしな)(工事中)
 B-D-17:柿の葉そば(さらしな)(工事中)
 B-D-18:桜エビそば(さらしな)(工事中)
 B-D-19:紅花そば(さらしな)(工事中)
 B-D-20:笹そば(さらしな)(工事中)
 B-D-21:くこそば(さらしな)(工事中)
 B-D-22:紫蘇そば(さらしな)(工事中)
 B-D-23:かぼちゃそば(さらしな)(工事中)
 B-D-24:ふきのとうそば(さらしな)(工事中)
 B-D-25:鯛そば(さらしな)(工事中)
 B-D-26:黒ゴマそば(さらしな)(工事中)
 B-D-27:高麗人参そば(さらしな)(工事中)
 B-D-28:みかんそば(さらしな)(工事中)
 B-D-29:大麦若葉そば(さらしな)(工事中)
 B-D-30:黒胡椒そば(さらしな) (工事中)
 B-D-31:二重変り蕎麦(さらしな) (工事中)
 B-D-32:とろろつなぎそば
 B-D-33:サラダそば
 B-D-34:そば寿司
 B-D-35:???
 B-D-36:???
 

B-D-1: ≪日本におけるそばの食べ方≫

N-D-6: ≪さらしなそば≫

  さらしな粉とは、ソバの実の中心部分にあるデンプン質だけの粉状のそばを指します。いかに中心部分だけにするかで粉の白度が微妙に変わってきます。白度の高いものは「白雪」と称されることもあります。江戸時代にもこの更科蕎麦はありました。特に武家への献上品は高価で上品な更科蕎麦が好まれたと思われます。そのため「御前蕎麦」という名称も生れたようです。現代でもこの呼び方を使っているソバ粉メーカーがあります。
 
  さらしな粉に小麦粉(つなぎ)を加えて打つ場合には、小麦粉の白度が関係してきます。そば打ちをやっておられる方ならば経験していると思いますが、通常のそば粉とつなぎの小麦粉を混ぜようとするときに、つなぎの方が白いことに気が付くでしょう。これを混ぜて蕎麦を作ったとすれば、恐らく十割のそば粉の蕎麦よりは白くなるはずです。ですがさらしな粉の場合はつなぎの無いさらしな生粉打ち(10割)が最も白いのです。
 
  さらしな粉を打つにはその特性を理解してかからなければなりません。さらしな粉の成分はほとんどデンプンですので、デンプンの糊化ということをまず知らなければなりません。デンプンは水に溶かそうとしても溶けず、練っても粘りは出ずにべたべたするだけです。ところがデンプンに熱湯を加えたり、懸濁液を加熱するととたんに粘りが出てきます。これはデンプン粒が吸水して次第に膨張し、最終的にはデンプン粒が崩壊してゲル状(糊状)に変化するからです。この現象を糊化(こか)と言います。色も白濁状から透明になり、急激に粘度を増します。しかし、粒子が最大限吸水した時に粘度が最大となり、粒子の崩壊により粘度は逆に低下します。
 
  さらしなを打つ際に、一旦は熱湯で湯捏ねしますが、この際に更科粉とつなぎ小麦粉が混じった状態だった場合にはどういうことが起こるのでしょうか。さらしな粉の中のデンプンは糊化して粘りを出しますが、これをそのあと冷やしますのでデンプンは水を遊離して不溶の状態となります。化学的にはこれを「老化」と呼んでいます。別に悪くなったということを意味しているわけではありませんからご心配なく。一方つなぎの小麦粉のデンプンも同様な過程を経て老化します。繋がりにとって重要なのはつなぎのタンパク質成分、特にグルテンと呼ばれている成分です(ただし、グルテンは2つのタンパク質と水が反応してできるので、最初からグルテンという形で存在しているわけではありません)。
 
  小麦粉のグルテンは麺生地に粘りと弾力を与えますが、もう一つ大事なことは、グルテンには時間経過による弾力緩和現象があることです。すなわち、練った直後にはグルテン効果で生地が固くなりますが、しばらく寝かせることでこれが緩和して比較的軟らかくなるのです。特にうどんの場合に長く寝かせるのはそのためです。そばの場合には通常は寝かしの時間をとらないとされていますが、蕎麦屋では実際の作業の進行をスムーズにするためにいくつもの玉を作って寝かせるということが行われています。基本的には十割そばでは余り寝かしの効果はありませんが、7割以下のそばでは寝かした方が良いでしょう。それはおよそ15分~30分程度で十分です。
 
  グルテンによる繋ぎ効果を最大にするには、つなぎ小麦粉に水を加えて全体的に水を回し、グルテンを早く生成させるのが良いのです。水の量は多過ぎても少なすぎてもよくありません。適度な水を与えて蕎麦を打つとコシが出ます。水が少ない固めの蕎麦ではこのコシが出ません。もし食感派の人がそばを打つ場合には、少し軟らかめの玉にした方が、茹でた時に強いコシが出ます。軟らかめの玉のことを‘ずる玉’と言って軽蔑する人がいますが、結果が良ければその方が良いのです。
 
  グルテンに熱湯を加えてしまうと、一部だけが塊を作ってしまい、全体にグルテンが出来にくくなると思われます。これはそば打ちにとっては好ましいことではないので、小麦粉に水を加える際には熱湯を加えるのは良くないとされます。また小麦粉によっては熱湯を加えることによって小麦粉臭が出ることもあります。これらを避けるためには、最初に小麦粉に水を加えて全体に水を分散させたあとに、更科粉を加えて混ぜ、これに熱湯を加えると言うやり方が一番適当だと思われます。あるいは、最初に更科粉に熱湯を加えて搔き回し、ある程度冷えてから小麦粉を加えて均一に分散させ、それから全体を練り込むという方法も考えられます。外二で打つ場合も最初から更科粉とつなぎを混ぜて、そこに直接熱湯を加えて打つやり方もあります。足利の蕎遊庵店主の根本忠明氏は、さらしな粉とつなぎを鉢に入れて混ぜずに熱湯を加えるという最も単純な方法を採用しています。要は時間を掛けずに最適な状況を作り出すというやり方が最適なのではないかと庵主は理解しています。どのやり方であれ、おいしい更科外二が打てるなら、それはそれでいいのではないでしょうか。
 
  さらしな生粉打ち(10割)では小麦粉の問題はないので、操作的にはより簡単になります。更科粉のデンプンに熱湯を加えて糊化し、この糊状のものを使って全体を練るようにします。更科粉全体に熱湯を回すのは難しいので、更科粉の一部に熱湯を加えて一部を糊化させるだけでも構いません。通常のこれまでのやり方では更科粉に熱湯を加えたあと、熱いのでヘラで良く掻き混ぜ、さらに手で良く掻き混ぜて水が均等に行き渡るまで掻き混ぜていました。さらにこれに水を加えて粘りを調節しました。やっと塊ができそうな状態になってから練りに入っていました。このやり方はかなり時間が掛かったのですが、更科粉に熱湯を一気に加え、一部に糊を作り、この後すぐに水を加えて残りの更科粉に水を回すというやり方もあります。糊状の部分に水をある程度回した更科粉を混ぜていきながら、いきなり練りに入っても構いません。水を加えていますから温度もある程度低くなっており、ヘラを使わなくても手で行うことができます。つまりこのやり方ではほとんど水回しという操作がありませんので、あっという間に練りに入れます。

  粗練りが終わったらこれをビニール袋に入れて、氷水の中で10分~15分ほど冷却します。これによってほぼ常温に戻りますから、取り出して仕上げ練りをして玉を作ります。あとは通常のそば打ちと同じ操作になりますが、さらしなは繋がりが極めて弱いので、延しの段階で切れたり端割れしたりします。ひどい場合には生地の表面に鮫肌ができてしまい、繋がりの悪い短いそばになってしまいます。力の加え加減に注意してできるだけ薄く延すのがコツです。この際に根本氏が考案(特許)したエンボス麺棒を使うと、鮫肌を防ぐことができます。通常の蕎麦の太さは1.5mmが標準ですが、更科蕎麦の場合は1.0~1.2mmまで延すのが理想です。つまり更科蕎麦は細く作るのを最善とします

  更科蕎麦はなぜ細くするのかと言うと、更科蕎麦は味も香りもほとんどありませんので、食感を楽しむものとされており、その食感を楽しむためにも蕎麦に汁の味を付けなければなりません。汁なしの更科蕎麦ほどおいしくないものはありません。麺は細いほど汁の絡みが良いので、更科蕎麦は細い方が食感と味を楽しむには好都合なのです。ですが余りに細過ぎても蕎麦同士が絡み過ぎて、今度はコシなどの食感がわからなくなりますので、やはり適度な太さが最良であるとされます。これは人の好みにもよりますので、自分でそばを打つ人は、最適な更科蕎麦の太さを経験から求めるようにしてください。
 
  更科蕎麦は食感を楽しむものだと言いましたが、それだけでは物足りないので、色や香りを付けて食べる「変りそば」を日本人は編み出しました。これは季節の素材を使って行われることが多いので、そばに四季感を与えるという効果も生み出しました。春のよもぎ・桜切りそば、夏の紫蘇切りそば、秋の菊切りそば、冬の柚子切りそば、などはその代表的なものと言えるでしょう。庵主はこれにさらに工夫を加え、二重そば(紅白)という変りそばを作ったことがあります。このように更科蕎麦はそばの食べ方に多様性をもたらしました。ですが高価なのと、打つのが難しく手間が掛かることから、一般の蕎麦屋ではメニューにないのが残念なことです。またあったとしても、茶そば・芥子(けし)そば・柚子そば・桜そばがあるくらいだろうと思います。自分で打てば、いろいろな変りそばを楽しめるのも、そば打ちの醍醐味の一つです。(終わり)
 
 
 
 
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