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B-J:そば打ち手順と技術

B-J:「そば打ち手順と技術」

 「そば打ち技術と手順」では、基本的なそば打ち手順に則って技術的な側面をまとめてみます。以下にサブテーマを記しますが、順次内容をアップしていきます。(現在は一部を除いて‘工事中’です)

 B-J-1:粉の見分け方
 B-J-2:秤量
 B-J-3:篩分け
 B-J-4:混合
 B-J-5:加水と水回し (工事中)
 B-J-6:練りと玉作り (工事中)
 B-J-7:地延し (工事中)
 B-J-8:丸出し (工事中)
 B-J-9:四つ出し (工事中)
 B-J-10: 粗延しと幅出し (工事中)
 B-J-11:本延し (工事中)
 B-J-12:畳み (工事中)
 B-J-13:切り (工事中)
 B-J-14:収め (工事中)
 B-J-15:片付 (工事中)
 B-J-16:打粉の振り方(工事中)
 B-J-17:茹で (工事中)
 B-J-18:温麺の茹で (工事中)
 B-J-19:盛り付け (工事中)
 B-J-20:湯捏ね (工事中)
 B-J-21:更科打ち (工事中)
 B-J-22:身体の位置と移動 (工事中)
 B-J-23:練りの姿勢 (工事中)
 B-J-24:切りの姿勢 (工事中)
 B-J-25:一本棒丸延し (工事中)
 B-J-26:少量そば打ち
 
 

B-J-1: ≪粉の見分け方≫

 そば粉を見分けるというのは難しいものだと思いますが、それは打つ人のレベルによって評価が異なるからです。そばを打ち始めた頃、ある田舎の店で30目の粗粉を買いました。とてもその時のレベルでは打てるようなものではなかったので、ひどい粉だと思ったものです。しかし今はそのような粉を逆に探して求めるようになりました。ですから以下には一般的見分け方と、そば打ちレベルに合わせた見かけ方を書きたいと思います。
 
 一般的にはそば粉には、①鮮度・②おいしさ・③適切な粒度分布が求められます。①の鮮度を見分けることができるのは袋を開けて香りを確かめ、粉の乾燥度を診て、さらにちょっと舌に乗せて味わえればいいのですが、販売品の場合にはほとんどが袋に密封されているのでそれができません。そこで袋の上から親指と人差し指で粉をつまんで、塊ができるかどうかで乾燥度を見分けるしか手がありません(つまみ法)。②を確認することは全く不可能です。③の粒度分布はある程度は見ただけでも分かりますが、「つまみ法」でも触感で分かるでしょう。
 
 初心者の場合は打ち易さが最大の要求項目となりますから、粉は細かいほど良いのです。勿論、自分の腕試しのために少々粗そうな粉を買う事は大いに結構なことですが、失敗を覚悟してください。味などは当たるも八卦、当たらぬも八卦の世界ですから、過剰な期待はしないことです。名産地で買ったからと言っておいしいという保証はどこにもないのです。
 
 中級者は少々そばを打てるようになってきますから、いろいろな粉に挑戦してみたくなります。更科粉や超粗粉はその格好の挑戦相手ということになるでしょう。しかし最初から高価な粉を買うのはもったいない話しですから、更科粉に挑戦する前に打粉を使って練習するとか、超粗粉に挑戦する前に、製粉所でくず粉をタダで貰って、これを普通粉と半々に混ぜて練習するとかの努力をしてみてください。意外なことを発見することに繋がります。
 
 上級者の場合は基本的に開封状態の粉を見分ける場合が多いので、その注意点をいくつか取り上げてみましょう。まずしっとり感があるかで必要な水量を推測します。乾燥し切ったサラサラ粉は良い粉とは言えません。つぎに親指と人差し指でつまんで指をずらして粒度を確認します。指先は高感度センサーですから、これである程度は粒度分布がわかります。最後にこれを舌に乗せて味を診ます。甘味が感じられるようでしたら合格でしょう。(終わり)

 

B-J-2: ≪秤量≫

 秤量とはそば粉などの重量を計ることですが、こればかりは秤(はかり)がないとできません。しかし昔は秤などは使わなかったので、おそらく升(ます)を使って体積で計ったと思われます。今でも蕎麦屋では「一合そば」とか、「一升そば」という呼び方で蕎麦の量を表わすことがあります。これはそば粉を升で計って打っていた時代の名残りだと思われます。
 
 またそば粉とつなぎ(小麦粉)の割合を表わす場合に、「二八」・「外二」・「九一」・「外一」・「十割(とわり)」という表現をしました。これらをそば粉の全量に対する割合で表すと、80%・83.3%・90%・90.9%・100%となります。これらの表現は粉を計るのに体積を用いていた名残りです。外一と言う場合は升に一杯そば粉を取り、その十分の一の体積のつなぎを加えた割合です。これらは現在の二八蕎麦(80%)よりそば粉が多いことを示しています。江戸時代の1751(寛延4)年に書かれた「蕎麦全書」などには二六蕎麦というものが記されており、配合割合は経験的に行っていたようです。
 
 現代では二八蕎麦が一番おいしいとよく言われますが、庵主は食感派ですので「七三」(割合の順序が逆になっていますが、これは語呂の良さからきたもので、そば七に対してつなぎ三であることを示しています)が一番おいしいように思います。多くの人に評価を聞くと、かなり七三に分があるようです。蕎麦屋さんでは手打ちを謳っていない場合、5割や6割が結構多いそうです。それでもおいしいと食べに来る客がいるのですから、それはそれでいいのではないでしょうか(庵主は嗜好に対してはこだわりを持ちません)。特に最近感じるのは、十割(現代では‘じゅうわり’と呼ぶ)蕎麦が必ずしも評判が良くないことです。確かに香りは最高なのかもしれませんが、食感は一般的に落ちるからです。すなわち、滑らかさが無くなる、コシも無くなるという点が十割の欠点だと思えるのです。
 
 以上のことからそば粉とつなぎの割合を順に並べると、三割(30%)・五割(50%)・七三(70%)・二八(80%)・外二(83.3%)・九一(90%)・外一(90.9%)・十割(100%)と各種混合割合が存在することが分かります。手打ちそばと言う場合、一般的には七三(70%)以上の配合が使われるのが普通であり、それ以下では手打ちと呼ぶのはおこがましいということになるのでしょう。
 
 粉も水も重量で計っているかぎり、全てをグラムで表示して割合を計算すれば問題は全くありません。水を秤で計るのが面倒だという人は、水をビーカーで計っても良いのですが、ビーカーは誤差が極めて大きいということを知っておく必要があります。ですから、他人のビーカーを借りて計るということは極力避けてください。自分の秤とビーカーを使っている分には、相対誤差というものは最小に抑えられるからです。(終わり)

 

BーJー3:≪篩い分け≫

  篩い分けというのは以下のように目的によって使い分られています。
1.製粉において殻を取り除く
2.製粉において粒度により分別する
3.そば打ちにおいて、雑物や虫を取り除く
 
  ここでは3.の雑物・虫の除去のための粉篩いについて説明しますが、一般にそばを打つ前に40目で篩うのは虫対策が多いのです。そば粉を長く常温保存していると、白い蛆(うじ)が発生することがあり、これを除くために行うことがありましたが、普通の場合は製粉所で雑物は除かれていますし、1ヵ月以内に使うのであれば篩う必要はありません。しかしそば打ちの習いとしてこれを行うのが良いとされ、段位審査ではこれを義務付けています。
 
  ですがここに篩の規格の問題があります。篩の規格には和式・洋式・JIS式とあり、和式では「目」と呼んでおり、洋式では「メッシュ」と呼び、JIS式では「呼び寸法・目開き」と呼んでいます。そばで使われる篩は平織のステンレス線か真鍮線が多く使われており、そば道具屋で買うものは和式の「目」が多く、ホームセンターで買う料理用のものは「メッシュ」が多いようです。細かいことに触れますと切りがないのですが、以下に定義を示します。
  ①目:1寸(30.3mm)の間にある目の数 
  ②メッシュ:1インチ(25.4mm)の中に目の数
 
  以上のことからそば打ちでは必ず篩いについて「〇〇目」という表現を用いてください。「〇〇メッシュ」という言い方をする人は篩の規格について知らない人がほとんどです。
  
   まとめますと、(ほとんど必要はないのですが)そば打ちでは雑物や虫を除くために一般的に40目の和式篩で篩います。実用上は必要ありませんが、段位審査では必須の工程になっていますので、癖をつけておいた方が無難です。
 
 

B-J-4: ≪混合≫

  そば打ちの第二の工程として粉の混合があります。そば打ちではそば粉とつなぎを混ぜる操作を指します。これは簡単なようで意外に難しいものですが、そば打ちではその後水回しと練り(捏ね)がありますので、完全に混ぜるというほど気を使う必要はありません。そのため丁寧に混ぜても余り意味はありません。
  
  この混合においてよく失敗をする人がいますので、注意点をいくつか挙げておきます。失敗は両手で撹拌操作を行う時に周りに粉を飛ばしてしまうことを指します。これは段位審査では減点となります。強く円形に両手を回転させて混合しようとする人に良く見られる失敗で、これは水回しでも同様なことが起こります。
 
  混合の原理からして、ただ円形に両手を回転させるだけでは良く混ざらないことは明らかです。上下撹拌が重要でして、これに回転や衝撃・分配を加えるのが良いとされます。指導では全部の指を立てて鉢の底を擦るように回転させることや、粉の手前半分を掬うようにして上方に載せる天地返しが推奨されています。天地返しは上下方向の混合をしますので良い方法で、両方を交互に行うのが理想的です。
 
  ノムさんは向こう側の粉を内側に引き込むような両手の動きをしますので、まず粉を飛ばすことはありません。そして五本指を立てた回転と天地返しを交互に行います。時間は10秒程度です。数回転させれば十分だと考えています。最後に鉢の上端部分や周囲上面に粉がどのくらい散っているかを見て下さい。上手に撹拌・混合すればそれほどひどく粉は散らないものです。(終わり:18.1.29記)
 
 
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