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BD-A:素人そば打ち段位と名人戦の意義

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「素人そば打ち段位と名人戦の意義」の内容

 「素人そば打ち段位と名人戦の意義」では、そばに関する認定と競技についてまとめてみます。以下にサブテーマを示しますが、順次内容をアップしていきます。
 
 サブテーマ1:素人そば打ち段位とは?
 サブテーマ2:名人戦とは?
 サブテーマ4:???
 

BD-A-1: ≪素人そば打ち段位とは?≫

   素人そば打ち段位認定制度段位は全麺協が実施しているもので、全国的な規模ですが、そば文化が東高西低になっているため、認定会は比較的北陸から関東以北で多く行われます。というのは主催する実施団体がこの地域に多いからです。現在は初二段が30回以上実施され、三段は10回、四段は2回、五段は2回実施されています。

 

素人の定義は、「そばの専門家でなく、それを職業としていない者」ということですが、たとえば蕎麦を打ってそれを友人らに材料費と称して現金を受けたとしてもほとんど問題はありません。以前は年間に50万円以下の収入という規定がありましたが、現在はこの規定はありません。常識的に考えて、毎日営業して収益を得ている蕎麦屋でない限り、趣味でやっていて多少の現金を受けていたとしても問題はないと全麺協も判断しているものと思われます。

 

受験資格は13歳以上であれば誰でも受験できますが、申請を出す際に会員団体を通して行うと簡単です。個人で申請する場合は特別個人会員登録が必要になります。団体に所属していれば年会費2000円で済みますが、特別個人会員の場合は5000円となります(2016年4月より)。申込書に所属団体を記入する欄がありますから、全麺協に登録している「そばの会」に入っている場合は、三段以上では所属団体の会長に印を貰います。ということは実質的に会長の推薦状になりますから、会との関係は良くしておく必要があるでしょう。四段・五段位受験の際には正式な会長の推薦状が必要になります。場合によってはこの段階で推薦されないこともあります。受験希望者が会の中で多すぎると判断した場合には、合格可能性の高い人を優先して推薦することになるでしょう。

 

全麺協の審査基準に則った会場作りや審査方法で行われますので、そば粉・打粉・打ち水・打ち台・鉢・篩・生船・屑打粉入れビニール袋・手洗いポリタンクは指定のものを使うことになっています。麺棒・小間板・切り板・包丁・計量容器・秤・音の出ないタイマーや時計の持ち込みはできます。踏み台・切り板は会場で用意してくれます。麺棒は何本使おうと自由ですが、一般的には江戸流の角延しを行うため、3本がほとんどです。庵主は四段受験の際、エンボス麺棒を使いましたので4本を並べました。審査委員長に試験後の懇親会でこれについて意見をお伺いしたところ、問題はないとの見解でした。

 

 

所要時間は、開始前の手洗い・衛生服装検査終了後の開始の合図から40分以内に片付まで終了することになっています。数秒以内の終了申告の遅れは審査対象になるので、大幅に遅れて途中であっても、終了の合図があったらすぐに申告すれば審査対象になります。申告がない場合は失格となり、不合格決定です。そのため、審査の際には他の人の進行具合を横目に見ながら、時間調整をすると良いでしょう。普段の練習でも、個々の操作にどれくらい時間を使っているかを知っておくことも大切です。

 

素人そば打ち段位認定の目的はいくつもあると思いますが、庵主が考えた目的としては2つあると思います。1つは素人によるそば打ちの普及のため、もう1つはそば打ちを趣味とする人に目標を与えて精進してもらい、その技術の向上を図るためだと思います。さらに全麺協はこの制度に「そば道」という精神的要素を重要視してとりいれており、それはそば打ちを通して人が人格的に向上することを目標としてもらおうという考えがあるためです。決して技術のレベルだけを向上しているのではないことに、受験者も注意することが必要です。逆に言えば、全麺協がこのような考え方に立っているのですから、そば打ちを自分の修養として取り入れて人格形成に役立てるという効用を大いに評価していくことが、そば打ちを単に趣味というものだけにするのではなく、人生にとって意義のある取組と捉えることができるのです。

 

  

A-2:名人戦とは?

BA-2: ≪名人戦とは?≫

 全国にいくつかの「名人戦」というものがあります。庵主もその全てを把握しているわけではないのですが、基本的なことをいくつか説明しておきます。まず「名人戦」というものを企画した最初の人は全麺協の段位認定部会・副会長をしている谷端淳一郎氏と越前そば道場の道場主であられた故中山重成氏がその発案者であるということです。この両氏は全麺協立ち上げの前に段位認定制度を作ることも同時に発案していますが、その両方共現在は実現しているということになります。
 
 段位認定制度は最初は地域振興を目的に始められましたが、現在はそば打ちの普及が大きな目的になっています。これに対して名人選はトーナメント方式で、それこそ最高度の技術的レベルを持つ人を選抜するために行われます。各地での予選を経て、最終的に主催団体の指定地(福井県)で最終戦が行われ、その年の名人を1名、準名人を2名選抜します。その他にも優秀賞3名、努力賞4名も表彰されます。全体でどのくらいの人が参加するのかはあいにく把握していませんが、相当数に上ると思われます。まさに‘名人’に相応しい人が選抜されているようです。
 
 ‘名人’といえば、世間では‘達磨’こと、高橋邦弘氏が有名ですが、彼はプロなので、マスコミや世間がそう評しているだけのことです。勿論、彼が名人と言われるに相応しい力量と経験を持ち、そして各種の活動において多くの実績を残していることは確かですが、技術的側面だけをみれば、他にも名人と評して良い職人は沢山いるように思えます。庵主が推したい名人は足利の根本忠明氏で、彼は技術だけでなく、理論的解説や、道具作りにも並外れた才能を発揮しています。要は見た人が、名人だと思えばそうなのであり、それはそれで価値のあることだと思います。確かに名人選を勝ち抜いて選ばれた‘名人’は、庵主が見ても感心する腕前を発揮しますが、だからと言ってその人が人格的に優れた「そば道」を極めた人かどうかはわかりません。選抜名人を過剰評価するよりも、自分で見て感じる‘名人’を探すことを心掛けた方が良いと思うのです。
 
 そして紛らわしいことですが、他にも「名人戦」を謳ったイベントはいくつかあります。「信州そば打ち名人大会(松本市)」もその1つで2015(H.27)年で8回を数えています。「北海道素人そば打ち名人選(幌加内町)」も有名で、旭川市は2011(H.23)年に道内の参加者だけによる「素人そば打ち名人選」をそば祭りと同時開催しています。主催はあさひかわ農協内の「上川そば&ラーメン祭り実行委員会」で、地方の小さな名人選という位置付けでしょう。
 2013年から始まった「全国ご当地そば伝承継承・推進協議会」の主催する「武蔵­の国 そば打ち名人選」もあります。これには全国からの参加が可能です。  
 2009(H.21)年から始まった(社)日本麺類業団体連合会が主催する「第5回大江戸そぱ打ち名人大会」が東京ビッグサイトで開催されています。このイベントの審査員には全麺協でも活躍している「上野やぶそば」店主の鵜飼良平氏や、歴代名人(福井)の田中富夫・寺西恭子・落合輝美各氏も参加しています。どちらかというとプロ業界主導の素人そば打ち名人大会とでもいうような、ニュアンスの曖昧なものです。本来ならプロ業界が主導するイベントならば、プロを対象とした名人大会を開催して欲しいものです。そうすれば大いにマスコミを賑わすことで、そばが話題になるでしょう。しかし、後援には(社)日本蕎麦協会や全麺協も入っているようなので、共存共栄というところなのでしょうか。
 最近では2016(H.28)年4月から始まる「彩の国更科そば名人戦」があります。これは「杉戸麺打ち愛好会小川道場」が主催するものですが、杉戸町や埼玉県などが共催・後援しています。
 
 これらの地域名人戦は多くの場合、1回の競技会で名人を選抜しています。その点でも福井で行われる最も権威ある名人戦は予選を勝ち上がってきた人達が本選で争うという最高のレベルであり、単に‘名人’と言った場合は、この福井での名人ということを指します。 
 
 

A-3:素人そば打ち段位と名人戦の意義

A-3:素人そば打ち段位と名人戦の意義

素人そば打ち段位と名人戦については別項で説明しましたが、それぞれにどんな意味があるのでしょうか?どちらも全麺協という任意団体から社団法人に発展した組織が公認しているものであり、しかもその発案者が全麺協の段位認定部会・副会長をしている谷端淳一郎氏と越前そば道場の道場主であられた故中山重成氏のお二人であったということから、趣旨の異なるものを同じ組織が運営していると考えて間違いありません。ですが、主催および実施主体はそれぞれの地域に所在するそばの会や地方自治体が運営します。

 

素人そば打ち段位認定制度というものの趣旨は、全麺協に拠れば「そば打ちによる‘仲間づくり’・‘地域づくり’を通して、‘人格形成(自分づくり)’を目指す」となっています。これに加えて段位向上を目指すことは、惹いては自分の人格形成を通して「そば道」を目指すことでもあるとしています。特に四段・五段の段位ではこのことが非常に強く強調されており、この段位を目標とする人にとっては重要な要素であることは知っておかなければなりません。

一方、名人戦はそば打ちの実力を問うトーナメント方式の試合であって、基本的には仲間作り・地域作り・自分作りは関係のない要素ですが、やはり審査では人物考査も含まれると思いますので、間接的には関係があると考えるのが普通でしょう。実際に、過去の名人は皆さんそれぞれの地域やそば打ちの会で活躍しておられ、さらに五段の段位を持っておられる方も多いのです。つまり趣旨は異なりますが、この2つの催しは同根・同精神に立っていると観ることができるのです。(終わり)

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